2007年7月アーカイブ

地震予知の議論

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専門家の責任ということでエントリーを書いたが、本日発刊されたNewtonに次回8月25日発売の記事で超巨大地震の特集が載ると予告された。さっそく、キーワードを検索したら「アスペリティ」があった。こういった学説は十分検証されていなくとも可能性のひとつとして説得力がある。科学は検証されるべきという専門家の誤った科学に対する思い込みが一般への公表の障害にあるように思えてくる。
こういった点をもっと公表していくべきだろうというのが私の持っている社会的責任の話だ。地震予知が議論の途上にあるということは誰しもわかっているが、昨年の原子力保安院の基準変更などもあたらしい知識をもとに巨大地震の起こる可能性をさらに現実的に捕らえている点で評価できる。要は、防災という生命に直結する事態への対処についてはできるかぎりのことをするべきではないかということだ。

専門家の社会的責任

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地震予知に関する専門家の意見はいずれも「現状のデータ集積と観測体制では困難」というもののようだ。それはそれとして専門家というものは全力を尽くしている訳だから誰も責めようなどとは思っていない。しかし、科学的議論と社会的要請がこれほど緊張感をもっている事案もそう多くない。
平成10年に当時文部省の諮問機関として測地学審議会が国の地震研究の方向を見直すべきとして出した中間報告ではじめて、専門家の側から予知は難しいと正面から認めた報告がなされた。
いわば専門家の集団が技術的に限界があると認めたわけだが、それでは防災や安全への対応は地震という災害について同じように打つ手はないのか、限界があると放棄されたのか、このあたりはあいまいなままである。文部省の管轄ではないという役所特有の縄張り感覚で専門家である学者の報告があればそれでよしとしたわけだ。もちろん、防災は文部省の管轄でないだろうということはわかっているが、それなら何のために諮問機関を設けたのか。社会的要請があったから大臣は諮問していたのであろうし、その社会的要請はその後消えたかといえば、むしろ強まっているとしか思えない。それまでに投じた予算はその後も広範囲の観測を継続していく礎になって現在まで多くのデータを蓄積してきた。この予算の消費を国民は無駄だとは言っていない。もどかしくはあっても、じっと成果の出るのを待っているというほうが多くの国民の実感に近いのではないか。ここ数年のGPSによるデータの蓄積によりプレートの動きが判明してきていることなど素人でも期待が膨らんできているのが現状だと思う。その後国土交通省へ予知の関心は移り、予知連絡会に対する注目が高くなったが、基本的構図は何も変わったとは思えない。
また、今回の19年中越沖地震で柏崎原発の想定慣性重力の3倍もの揺れが発電所を直撃したというニュースはおそらく技術者なら肝を冷やしたのではないか。専門家としてどのように社会的要請に応えていくのかという重い課題は、しかし何も原発の耐震設計の基準だけの問題ではなく、地域の地震予知、そして災害が訪れたときの対応も等しく重い課題であることは同様である。専門家の意見はこれら社会的に影響の大きいさまざまな問題に対する唯一のよりどころとなるものだろう。その社会的責任を意識した言動が求められており、マスコミの無責任なあおりの報道を厳しく指摘し、糾していくことも社会的責任のひとつといえるだろう。
たとえて言えば、医師の医療責任の問題と重なる。個人であれば、家族を含めて通常ならだれも医師の技量を疑わないし、信頼関係の中で最善を尽くしてくれているという思いがあればこそ患者も治療に専念できる。医師は人命にかかわるので逃げるわけにいかない。直接患者に患者の容態や治療法方について説明をするインフォームドコンセントは、今では社会的要請として双方とも了解し、地道に実施されている。
地震予知にかかわっている専門家は自信をもって発言するべきだし、領分を越えて一般の防災対策についても積極的に意見を言うべきだろう。誰もがどうしてよいのかわからないなかで、唯一頼りとしている専門家が社会の反応を恐れて口をつぐんでいるという事態こそ、社会的責任を放棄していると言われてもしかたがない状況ではないだろうか。
地震予知の困難さは誰もが認めている、データの判断を専門家に求めているわけではなく、自分たちが専門家としてこういう点に疑問をもち、こういう点にデータ抽出の重点を置いて観測を継続している。これらのデータから確実に言えることはないが、全体としてこのような状況となっている。判断を下すことは社会経済的な影響があるので直接できないが、この事実は知っておいて欲しいと発言するべきではないのか。そう思う。

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