2008年1月アーカイブ

会計の潮流

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この一週間でサブプライム問題はあらたな局面を迎えたと思うが、わが国にもたらされた急激な円高と米国金利との格差縮小は市中金利の低下と株価の急落を招いている。
こうした事態を見て不思議に思うのは、ひとつには米国でのサブプライムローンの格付けの妥当性であり、もうひとつは損失の定義と公表のあり方である。
特に損失の定義は欧米のかつての教訓を糧にして現在の時価評価システムが構築され、この時価評価をベースに損失の認識がおこなわれてきたわけだが、時価のなんたるかは時間の要素をどう組み入れるかが核心部分であると思われる。計算に便利な、もしくは計算可能な評価はコンピュータ全盛時代を迎えてあたかも万能であるかのごとく利用され、経営の評価や公表の指標として活躍している。
現在大半の市場参加者がリスクヘッジという点ではブラックショールズの方法についてその根拠や信頼性について疑義を挟んでいないし、むしろ教科書としているともいえる。しかし、ブラックショールズの方法は現在でもその基本的な有効性はあるものの、ボラティリティσとドリフトμが定数であるということは前提ではあっても、現実の経済では定数でないのは常識である。むしろ、これに触発されてプライシングに関してさまざまな時間アプローチが出現し、なんとか市場のモデル化を図ろうという努力が続けられているのが現状といえるだろう。
これらの努力が無駄だといっているわけではないが、近似化していくモデルの測定にはこれまで積み上げられてきたさまざまな信用リスク、経済的損失の評価が含まれており、債権者が回収の現場でどのような交渉を行い、どのように判断して債権をあきらめるか、どの部分を回収するのかまで時価評価の方法に組み入れられているわけではない。これらは会計原則や税制に負うところが多く、モデル化に抵抗を示しているとでもいえるだろう。
私には、現在のサブプライム問題には、これまでの議論が対象としていない信用リスク問題、すなわち企業ではなく個人の債権を対象にした不良債権問題であるところが問題の本質と深くかかわっているような気がしてならない。超長期の時間軸の中での資産価格の一般理論として登場した「マルチンゲールアプローチ」はブラックショールズへの批判を意識した理論で期待のもてる部分はあるものの、現場との接点である信用リスクの測定のところでまだまだ道は遠いという感がある。

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