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「インターネット白書2003」で見るインターネットの現在(5)

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【N+I 2003】レポートINDEX


【連載】
そこが知りたい!検索エンジンの裏側ロゴ

【編集部から】
  インターネットユーザーにとって、1日たりとも欠かせないのが検索エンジン。その検索エンジンをディープに使い尽くすために欠かせない情報を、毎回詰め込んでお届けします。

第9回 ネット広告の値段で人気業種がわかる

●広告型検索エンジンの価格表から見えてくるものは……

Looksmart Looklistingsのページ
 LooksmartがPPC(Pay Per Click)の価格を改定した。この価格の決め方は、あなたがオンラインマーケティングの計画を立てるときの大まかな目安として使えるかもしれない。その基本的な考え方は、「どんな業種か、そしてその業種がどの程度の競争にさらされているか、という2点によって値段が決まる」というものだ。

 その値段はどのように算定されるのだろう? まず最初に、1カ月5,000クリックで0.15ドルというCPC価格がベースになる。これはどんな商品でも業種でも、同じ金額だ。そして5,001番目のクリックから、業種によって値段が変わっていくことになる。

 Looksmartはこのアイデアを実現するために、インターネットの市場についてかなりの突っ込んだリサーチを行なってきたようだ。僕の考えでは、価格表である「Looksmart Looklistings」は、特定のマーケットがどの程度注目されているのかを測るために使えるのではないかと思っている。他のジャンルと比べ、自分のサイトのジャンルがどれだけ価格が高くなっているのかを調べることができるからだ。

 Looksmartの価格表は、現在以下のようになっている。

  CPC 0.23ドル
Auto 自動車保険とローンを除く自動車関連全般。自動車メーカーやパーツ、アクセサリー、価格見積もり、自動車ディーラー、自動車評価サイト、中古車募集、トラック、オートバイ、RV、ボート
Books, Magazine, CDs, and DVDs 書籍、雑誌、CD、DVD
Auctions, Affiliate Malls & Coupon Sites オークション、アフィリエイトサイト、クーポンサイト
  CPC 0.30ドル
People & Relationships 個人広告のマッチメイキングサービス、コミュニティサイト
Business Services B2Bサービス、コンサルティング、会社設立支援、長距離電話ワイヤレスサービスプロバイダーなど(ホスティングと金融、保険は含まず)
Proffesional/Consumer Services 医師、弁護士、法律相談窓口、歯科医、会計士
Moving and Real Estate 引っ越し業者、不動産リスティング、不動産業者、住宅建築、レンタルサービス
Paid-Download Services 映画や音楽、ソフトウェアの会員制ダウンロードサービス
Retail PC、スポーツグッズ、家具、室内装飾品、贈答品、衣類、家電、楽器、宝石、ウェディング用品、百貨店
Ticket Services スポーツや音楽、イベントのチケット販売
Travel 旅行関連全般。航空会社、ホテル、旅行代理店、パックツアー、レンタカー、船、ツアーガイド
  CPC 0.40ドル
Education スキルアップや高等教育関連、専門学校、大学、学校案内、奨学金情報
Jobs & Careers 就職案内、履歴書サービス、キャリアやモチベーションに関する自助グループ、就職紹介所、人材スカウト業
Health Products ビタミン、サプリメント、ダイエット薬、店頭販売薬、処方箋薬、健康関連商品、医療機器、栄養補給品
  CPC 0.75ドル
Credit/Bad Debt 信用回復、債権回収、債権整理、ハイリスクローン
Online Gaming オンラインゲーム、ギャンブル、カジノ
Finance/Insurance 銀行、保険、ファイナンス、モーゲージ、投資、株式手数料、税務、クレジットカード
Communications/Internet Hosting Web会議、データ通信、ASPサービス、Web開発、電子商取引支援。Webホスティング、EC技術サポート、ドメイン登録を含む

 この価格表を見ると、欧米の人たちがインターネットの市場をどう見ているかがわかるんじゃないかな。もちろん、日本の検索エンジン市場では若干は事情が変わってくる。とはいえ、みんなもよく知ってるように、ヨーロッパや米国のネット市場で起きることをよく見ていれば、日本でのビジネスに役立つともいえるわけで……。

 もしこれからSEO(検索エンジン最適化)業者を利用したり、あるいは自社でSEOをやろうとするのであれば、予算を決めるガイドラインとしてこのリストが使えるかもしれない。完璧とは言えないし、例外もたくさんあるが、オンラインマーケティングの戦略を立てる助けにはなるだろう。

●新しいGoogle Toolbarがblog業界を呑み込んでしまう?
Toolbar2.0のダウンロードサイト

 GoogleがWebブラウザー用アドインソフト「Toolbar2.0」のβ版をリリースした。注目すべきなのは、ポップアップ広告を遮断する機能を搭載したことだ。このPop-up blockerと名づけられた機能を一時的に停止したい場合は、CTRLキーを押しながらリンクをクリックすればいい。さらにブロックしたくないリンクは、パーソナライズされたwhite-listというデータベースに登録することができる。ここに登録しておけば、次からそのリンクのウインドウを開いても、勝手に閉じてしまうことはない。

 ついで興味深いのは、フォームの自動入力機能だ。AutoFillという名称のこのオプションでは、ユーザーの名前と住所、電話番号、さらにはクレジットカード番号までハードディスク上にセキュアに保存しておくことができる。Googleの説明によると、この個人データは暗号化されてパスワードで保護されており、勝手にGoogleのサーバーに送信されることもないという。もしWebブラウザーを使っていて、画面のフォームが黄色になっていたら、このAutoFillが使えるというしるし。個人データを自動入力させて、時間を節約することができる。

 僕はまだこの機能を試してはいないけれど、この機能を皆がどう感じるのかは興味深い。それから日本語バージョンがいつリリースされるのか、そっちも気になるところ。

 新しいGoogle Toolbarの3番目の興味は、blogの投稿機能。Webページ上のテキストをハイライトして、BlogThisというToolbarのボタンをクリックすると、そのテキストの文字列とURLが自動的にblogに挿入される。もっとも、この機能はBlogger(Googleが今年2月に買収したPyra Labsが提供しているblogのサービスだね)でしか使えない。Radio UserLandMovable Typeといったblogサービスのライバル企業は今回、かなり危機感を高めている。GoogleがこのBlogThis機能を普及させ、デファクトスタンダードにしてしまえば、これらのコンペティターたちがかなりのダメージを受けることになるのは必至だからだ。

●ネット広告大手がPPC企業を買収

Search123.comが発表したリリース
 インターネット広告のValueClickが、Search123.comを買収したと発表した。Search123.comはカリフォルニア州アグーラヒルズにある株式未公開のPPC(Pay Per Click)企業。この買収で、ValueClickはPPCの広告型検索エンジンサービスを同社のネット広告のオプションとして加えることができるようになった。

 ValueClickのビジネス自体、PPCとは親和性が高いものだったといえる。そのビジネスモデルの中心はバナー広告とダイレクトeメールで、ユーザーが何らかのアクションを起こしたときに支払いが生じる仕組みになっている。

・CPC(cost per click) ユーザーがバナーをクリックするごとに広告主は0.55〜0.65ドルを支払う・CPL(cost per lead) 特定のサイトにユーザーが誘導されるごとに広告主は0.30〜1.50ドルを支払う・CPA (cost per acquisition) ユーザーが購入や登録をするたびに広告主は0.50〜70ドルの手数料を支払う・オプトインメール ユーザーがダイレクトeメールのリンクをクリックするたびに、広告主は0.20ドルを支払う

 ValueClickは今回の買収で、現金330万ドルを含めて、総額500万ドルを支払ったという。

●自律型の自己増殖コミュニティが世界を助ける?

テロリストの攻撃を事前検知する「TIA」
 最後の話は、検索エンジンからはちょっと外れてWebの文化に踏み込もう。大きな枠組みで言えば、この問題は検索エンジンという文化が今後、どう発展していくかということともつながっていく。

 僕は今、この文章を米国の独立記念日に敬意を表して書いている。そう、今日は7月4日というわけだ。僕は今シカゴにいて、窓の外では花火が鳴り響き、活気に溢れた夜が始まろうとしている……。

 この2年間、米国では市民の個人情報を政府が収集することについての議論が延々と続けられてきた。DARPA(Defense Advanced Research Project Agency)という名前で知られる国防総省・国防高等研究事業局は最近、TIA(Terrorism Information Awareness System、テロリスト情報認知システム)というプロジェクトをスタートさせた。2,000万ドルかけて電子的な情報を分析し、テロリストの攻撃を事前に検知してしまおうというものだ。でもこの計画は、市民の生活を政府が過度に監視してしまうものだと、皆が思っている。

 マサチューセッツ工科大(MIT)のメディアラボをご存じの方も多いだろう。テクノロジーとメディア、アートを融合させたさまざまなプロジェクトを実行に移してきたことで有名だ。このメディアラボが最近開始したプロジェクトは、GIA(Government Information Awarness、政府情報認知システム)と呼ばれている。TIAに対抗して、政府の監視機関を作ろうという考え方だ。開発者たちは、政府高官たちの情報を一堂に集積する役割を担わせようと考えているようだ。

 GIAでは、情報をまとめる新しい手法として、たとえば同じ利益団体(日本でいう“族議員”)に属している政治家を分類し、それからそのリストを政治献金や投票記録のデータベースと照合していく――というシステムを考えている。政治家や党、政府機関などの情報を集めて関連付けを行なっていくことで、通常の報道では見えにくい部分も含めた包括的な情報を得ることができるという。

 このプロジェクトはその内容自体もさることながら、計画のデザインが非常に興味深い。GIAでは、自己増殖していく自律的なコミュニティを作ろうとしている。Googleのページランクや、Yahoo! Auctions、eBayなどのネットオークションのように、ユーザーが主体となって情報の価値を動かし、相互に評価しあうという仕組みだ。

 例えば信頼できるWebサイトは、Googleの検索結果ランキングのトップに入り、あるいは不誠実な業者は、オークションではじき出されていく。それと同じようにGIAでも、利用価値が高くて公平な情報が上位にランキングされるシステムを作ろうとしている。ユーザーは信頼性で投稿を評価付けし、もしこのシステムがうまくいけば、投稿をうまく分類することができるようになるかもしれない。

「GIA」は政府を民間の目で監視しようという試みだ
 この試みは、僕にとっては個人的にもかなり興味のあるものだ。僕はここ2週間をシカゴとデトロイトで過ごしていて、クライアントや友人、家族たちと会っていた(もちろん、来週に迫った僕自身の結婚式の準備もしているんだけど)。そこで気づいたのは、テレビのニュースを見ている人と、Webからニュースを得ている人では、政治的意見に大きな違いがあるということだったんだ。これはまったく科学的ではないし、僕の単なる個人的印象に過ぎないのだけれど――テレビからニュースを得ている人はブッシュ大統領支持派で、Webからニュースを得ている人はブッシュ大統領に批判的な人が多い。これはなかなか興味深い現象だね。

 GIAのサイトから、僕が最も好きな文章を引用しておこう。「TIAは毎年、何百万ドルもの予算を得て、ある意味ではまあ成功している。GIAはその100分の1のさらに100分の1の予算しかないが、アメリカ人の英知の結集で成功することができるはずだ」。

 ともかく、GIAのプロジェクトは、自律型のコミュニティというWeb文化固有の局面を、マーケティングに組み込んでいく可能性を秘めているという意味で、きわめて興味深い。開発者たちは、巨額なマーケティング費用を使わずに、オンラインの行動制御だけでトラフィックを増やそうと狙っている。それはSEOが、人々が検索エンジンを使うという新しい文化をマーケティングに持ち込んだのと似ているかもしれない。

【著者プロフィール】
・文=ジェフ・ルート(Jeff Root)
 イージャパン株式会社のSEOチーフスペシャリスト。日本には出たり入ったりで早や10年。メールアドレスは「jeff@ejapaninc.com」。日本語もOKなので、気軽にメールをくれると嬉しい。
・翻訳=佐々木俊尚
 元全国紙社会部記者。その後コンピュータ雑誌に移籍し、現在は独立してフリージャーナリスト。東京・神楽坂で犬と彼女と暮らす。ホームページはこちら

(2003/7/8)

[Reported by ジェフ・ルート&佐々木俊尚]

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INTERNET Watch編集部internet-watch-info@impress.co.jp
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TITLE:そこが知りたい!検索エンジンの裏側 第9回
DATE:2003/07/09 00:03
URL:http://internet.watch.impress.co.jp/www/column/kensaku/0708.htm