パレスチナ情勢がこの1年半で最悪の様相を示す中、イスラエルのシャロン首相は8日夜のテレビ放送で、パレスチナ側の完全な暴力停止がなくても停戦実施協議を始める用意があると語った。イスラエル軍によるパレスチナ自治区への激しい攻撃に欧米が批判を強め、米国も停戦を仲介する特使を来週派遣する。強硬派の首相は停戦に前向きの姿勢を一応示しながら、攻撃継続も明言した。
シャロン首相は、テレビ局との会見で、「我々は軍事作戦を継続するが、同時に停戦実施の協議を始めると米国側に伝えた」と語った。首相はこれまで「攻撃の下で協議はしない」という原則を掲げていたが、この条件を撤回し、明確に「攻撃の下で停戦協議をすることになる」と語った。
方針変更については、イスラエル軍の攻撃激化に対する米国の批判や事態悪化に対するイスラエル国内の支持率の低下など、内外の圧力を受けた結果との見方が一般的だ。ただし首相に会見したイスラエル人解説者は、真意について「パレスチナが停戦を求めるまで追いつめ、勝利を手にすること」と解説する。
実際、イスラエル軍は9日未明もヨルダン川西岸のナブルスで、パレスチナ自治政府庁舎などをミサイルで攻撃。ガザとラマラの自治区にも戦車で侵攻した。8日にはパレスチナ側の死者は1日で40人を超え、00年秋に武力衝突が発生してから最悪の事態となっていた。
シャロン首相の新たな姿勢については、「停戦」の名の下にパレスチナ武装勢力をねじ伏せる意図を指摘する見方が出ている。8日には西岸トルカレム自治区で首相にとって理想的な「停戦」が実現した。
2日間の包囲攻撃の結果、難民キャンプに立てこもって抗戦していた約250人の武装勢力を投降させた。武装勢力はイスラエルの指名手配リストに載っていないかどうかチェックされ、名前があれば拘束された。力負けしたパレスチナ武装勢力は投降を余儀なくされた。
米国のジニ特使が停戦仲介に踏み出しても、イスラエル側はパレスチナ側が屈服するまで強力な軍事作戦を並行させるとの見方が出ている。パレスチナ武装勢力からの激しい反撃は必至で、首相が示した新方針が一時的に暴力の応酬を鎮めても、情勢は長期的にはさらに悪化する危険性が大きい。(12:26)
|