佐世保重工業(SSK、本社・東京都)による国の助成金不正受給事件で、長崎県警は27日、前社長の姫野有文容疑者(63)=同県佐世保市鹿子前町=ら7人を詐欺容疑で逮捕した。県警は一連の不正受給が会社ぐるみの犯行だった可能性が高いとみて事件の全容解明を急ぐ。
逮捕されたのは前取締役で前佐世保造船所副所長、水広幸雄容疑者(53)=同市木場田町▽元県警相浦署長で顧問、田村正利容疑者(63)=同市名切町▽造機部長、佐藤裕爾容疑者(55)=同市鹿子前町▽総務調査4部次長、迎壽夫容疑者(58)=同市天神町▽勤労部長付課長、田中耕一郎容疑者(45)=同市日野町▽勤労課長、広津忠容疑者(33)=同市大潟町。
調べでは、姫野容疑者ら7人は、社員に教育訓練をした企業に支給される国の生涯能力開発給付金を不正に受給しようと企て、99年9月〜00年3月、社員に教育訓練を実施したように見せかける虚偽の給付金支給申請書を作成し、00年度の給付金約1億5000万円をだまし取った疑い。姫野容疑者は容疑を否認しているという。
同社は01年度給付金約2億2700万円を不正に受給したことも認めており、県警はその立件に向けても捜査を進める。
同社はほかにも、99年6、7月から1年間、社員延べ約870人を下請け19社に出向させ、19社が中高年労働移動支援特別助成金として約17億2500万円を受給していた。うち21人分(約4500万円)がカラ出向と認めており、県警はこの不正受給に関しても調べるとみられる。
27日、同社は東京で株主総会を開き、姫野容疑者は不正受給の責任を取って社長を辞任した。県警は総会終了を待って姫野容疑者の事情聴取に入り、逮捕に踏み切った。県警は今後、姫野、水広両容疑者を不正受給の指示系統のトップにいた人物として追及する。田村容疑者ら5人は、教育訓練の計画作成などに深くかかわっていたとみて調べていく。
佐世保重工業 旧佐世保海軍工廠を母体に1946年10月、「佐世保船舶工業」として設立。61年、現社名に変更。62年には当時世界最大のタンカー「日章丸」(13万2334重量トン)を建造した。その後、造船不況で倒産寸前に追い込まれたが、78年の原子力船「むつ」修理受け入れによる政財界の支援や「再建王」と言われた坪内寿夫社長(故人)による合理化で再建した。資本金84億1400万円。02年度3月期の売上高は473億6400万円。従業員1123人(6月1日現在)。
[毎日新聞6月27日] ( 2002-06-27-23:46 )