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| 社会ニュース - 12月29日(日)3時5分 |
狂犬病によく似た症状を引き起こす「リッサウイルス」の感染源となるアフリカ産のコウモリ4種が、2年足らずの間に検疫なしに523匹も国内に輸入され、国立感染症研究所(感染研)が厚生労働省に輸入制限などの緊急対策を求めていることが、28日わかった。コウモリは複数の危険なウイルスの感染源となるため、欧米では輸入が厳しく制限されているが、日本では検疫の対象外。感染研では、コウモリによる新たな“狂犬病”が国内で起こりかねない、と危機感を募らせている。 感染研の神山恒夫・人獣共通感染症室長によると、国内に輸入されているコウモリは、エジプト原産の「エジプトルーセットオオコウモリ」、コンゴ地方原産の「フランケオナシケンショウコウモリ」、マダガスカル原産の「マダガスカルコウモリ」、カメルーン原産の「ウマヅラコウモリ」の4種で、ほとんどがペットとしての輸入とみられている。 神山室長らが動物輸入業者から調査したところ、2000年1月から2001年10月までの1年10か月の間に、523匹が輸入され、内訳はエジプトルーセットオオコウモリが435匹、フランケオナシケンショウコウモリが48匹、マダガスカルコウモリが25匹、ウマヅラコウモリが15匹だった。 リッサウイルスは、アフリカだけでなく、ヨーロッパやオーストラリアでも見つかり、フィンランドの動物業者や、オーストラリアの自然保護官への感染が報告されている。判明しているだけで6人が死亡しているという。 英国では今年11月、野生コウモリが感染源とみられるリッサウイルス感染症が発生し、「100年ぶりの狂犬病か」と騒ぎになった。 また、フランスでは1999年、ペットの輸入コウモリがウイルスに感染していたことが判明。接触の可能性がある120人にワクチンが接種され、仏政府は野生動物の輸入を原則、禁止した。また、コウモリはリッサウイルスだけでなく、マレーシアで発見された脳炎を起こす「ニパウイルス」や、オーストラリアで報告された呼吸困難で死ぬ「ヘンドラウイルス」などの感染源となることが知られている。 欧米諸国の中にはコウモリの輸入を厳しく制限している国が多いが、日本では、家畜を除いては、狂犬病予防法で犬やネコなど、感染症法でサルの検疫を義務づけているだけで、コウモリの輸入は野放しだ。 近年、国内では「エキゾチック・アニマル」などとしてコウモリの人気が高く、ペットショップで1匹1万5000円―3万円で売られている。 感染研の調査では、コウモリがウイルスに感染していたかどうかまではわからなかったが、感染研は「未検疫で国内に入ってくる輸入コウモリによって、狂犬病だけでなく、新たな感染症が侵入する危険が高い」とし、厚労省にコウモリの輸入制限を求める「健康危害情報」を出した。 感染研の神山室長は、「日本は、コウモリに限らず、ほとんどの野生動物が検疫を受けずに輸入できる。どんな感染症が入ってきても不思議ではなく、輸入規制などのルール作りが急務だ」と話している。 ◆リッサウイルス 狂犬病ウイルスの仲間で、ウイルスを持つコウモリにかまれたり、引っかかれたりすると感染する。発症すると、筋肉を動かす神経のまひや呼吸障害などが起き、死亡率が極めて高い。有効な対策は、発症前のワクチン接種だけだ。1977年に旧ソ連のウクライナで最初の死者が報告された。国内ではまだウイルスは見つかっていない。(読売新聞) [12月29日3時5分更新]
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