BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)問題をめぐる行政の対応を検証する農水省と厚生労働省の調査検討委員会は22日、最終報告書の要旨について議論した。要旨では農水省が1996年に肉骨粉の規制を行政指導にとどめた点について「重大な失政」と指摘、消費者保護を軽視した姿勢を批判した。政策決定にも族議員が「陰に陽に影響を及ぼしている」として政と官の癒着にも言及、生産者優先の考えからの脱却を求めている。
要旨は3人の委員がこれまでの議論を踏まえて起草した。この日の委員会では議論がまとまらず、25日に臨時の委員会を開き、報告書を提出する4月2日に向けて大詰めの調整を進めている。
要旨では、1996年に世界保健機関(WHO)が肉骨粉禁止を勧告した際の農水省の対応を重視。BSEが人へ感染する可能性が指摘される中、「課長通知の行政指導で済ませたことは重大な失政」と厳しく指弾した。
さらに2001年には欧州連合(EU)が「国産牛がBSEに感染している可能性が高い」とする評価をまとめた際、「日本の酪農は肉骨粉を使う習慣がない」などと同省の猛反対で公表が見送られた経緯について、「政策判断の間違いだった」と重ねて批判した。
こうした農水省の姿勢を「生産者優先、消費者保護軽視の体質」と指摘し、その背景に全国の農村を基盤とする農林族議員が「強力な圧力団体を形成し、予算獲得を支援してきた」と分析、政策判断の軸足を生産者から消費者に移すことを求めた。
この立場から、今後の食品安全を確保するために、食品のリスクを分析する際の基本指針の策定を求めた。特にリスクがどれくらいあるか評価する際には、族議員などの圧力を排するため、「関係省庁から独立した行政機関で行うべきだ」とした。
新組織については、前回の委員会では「具体的に記述しない」としていたが、この日の委員会では内閣府に設置されている総合科学技術会議のような組織や、公正取引委員会のような組織をつくり、リスクを評価することを求める声が出た。
[2002/3/23 日本経済新聞]