偶然と必然

 

著者   ジャック・モノー

訳者   渡辺 格  村上 光彦

出版社  みすず書房

この書物は、1972年初版本が出版され、私は74年の初版第3刷を買っている

したがって25年前に読んだ書物だが、今でも強烈な印象が残っている。

 

        この書物は、いまや古典中の古典である。進化の意味をこれほど明確に、分かりやすく述べた書物はなかった。ダーウィンの説が何を意味していたか、どのように裏付けられていったか、さまざまな思想、宗教との相違点が述べられている。

        説得力のある内容でこの書物によってわたしは、現在あたりまえと認められている進化論の深遠な意味を知った。いやはじめて納得したといってよいだろう。

        適応現象が遺伝的に決定されているものであるという新たな発見が、この書物の表題となっていると考えられるが、偶然とは何か、われわれが偶然と考えていることが必然で、必然と考えていることが偶然ではないか、知らないことがこのように物事を見る見方に影響していたのかという思いを抱いた。

        したがって、この書物から私の得たものは謙虚に事実を知ることと、事実でないことは深く考える必要があるということであった。

        思想・宗教ということが1970年代は世の中を揺るがし、さまざまな政治的動きとあいまってこのような書物も生まれてきたのだと思う。今読んでみるとあらためて当時の熱気が伝わってくるような気がする。それにしても当時の環境で考えれば、非常に冷静な論調であった。