時間

 

    時間は流れている。人間にとってそれは一方への流れだ。

    時間はとまりこそするが、逆流はしない。プリゴジンの時間の矢。

    時間はそれぞれ独立に存在し、互いに干渉しない。観察者はこれらを同期せしめて理解しようとする。しかし、観察者の時間も自らの時間でしかないので相対的にならざるをえない。

    したがって、瞬間は本質的に同一とみなすことの可能性を排除しないが、時間は同一となりえない。時刻と時間のどちらが本質的かといえば時刻としか言いようがない。時間はかくもあいまいで、偶然性に満ちている。

    ベルグソンの把握した時間も一か全てか、その真っ只中で理解するしかない。モーツアルトしかり。

    時間は近代精神とは相容れない部分が多すぎる。それはギリシャ的といえる。

    ニーチェの悩んだ最後の部分はきっとここだろう。「神は死んだ」と言わざるをえなかったのが時間のせいだとは。