逃げるということ

 

    動物は逃げることで生き延びる。本能が危険を察知し、無意識に逃げる。

    人間もおそらくは、危険の存在を本能的に知る装置を備えている。

 

    危険を知るのは何によってか?遺伝子に組み込まれたコードには意識下にある行動のパタンが書き込まれており反射反応などで自らを防御している。

    また、免疫などの防御反応に至る前に、弱い部分に壁を作り、危険を遮断する仕組みを構築してきている。

 

    生活している世界で危険が迫ることは生活の基盤そのものが脅かされている事態だ。生命の危険と社会生活上の危険。自由で危険のない世界を求めて人は移動する。難民の行動の原点は逃亡だ。

 

    動物の世界で、否定を相手に伝えるしぐさはない。相手がその行動をとろうとしたそのときに、相手を脅すとか、相手の期待を裏切る行動をとるとかすれば、DONOTを伝えることができるわけだ。ただ、その禁止されるべき行動を、自分のほうから示すことはできない。一方が差し出した相互作用のパラダイムをもう一方が打ち破るというのが動物における否定の形なのだ。(グレゴリーベイトソンより引用)

    動物レベルでは「反対」または「矛盾」ということが生じる例としては、ひとつのしぐさが攻撃と逃走を同時に意味するというケースが知られている。動物は二つの選択肢を同時に呈示しており、単純否定のNOTを引き出すことは困難である。