まねる

 

    真似るには相手をきちんとわかる必要がある。

    まねることで自分の行動が正しくおこなわれているか確認できる。

    コピーライターという職業がある。商品のセールストークを正しく言えるか。真似ることから商品の紹介がはじまる。

    免疫は侵入してきた外敵の特徴をまねることからその機能が働く。牙のなんたるかを知ってそれを真似ることで牙を抜く術を取得する。

    真似ることができなくなれば生命は危うい。相手が何者か知ることができなくなるということは死に直結している。

    子供は真似をすることで大人の世界に存在している数々の約束事の仕組みを一瞬のうちに理解する。

    反復することでものが見えてくる。外延をなぞる動き。真似をすることは納得するための手段。

 

    人類の営みはいわば「まねること」そのものだ。動物の行為の真似、素材の真似、形の真似。

    ついにハードなもののかたちでまねが限界にくると、生命現象そのものを真似し始めた。人間をまねていったいなにを作り出そうというのか。

    人類の文化現象のほとんどはなんらかの生命現象のアナロジーだ。意識していると否とにかかわらず。

    また、医者という職業の不思議さ。医者はいったいなにをしようというのか。生命現象をなぞるだけではないのか。医の倫理とはなにか。