コンピュータ

 

平成13110

    コンピュータはやはり魔力があるらしい。とくに私の世代の初老人間にとって、強い強迫観念を生んでいるとしか思えない。なんでそんなにまでしてコンピュータにしがみつくのか。自分でもよくわからない。

 

    現在のコンピュータはこんな使いにくいものはない。デザインとして最悪だと思うし、人間に使われるべき水準に達していないと確実にいえる。しかし、若くて柔軟な頭を持った者が自由自在に使いこなしていると、使えないのが罪悪であるかのように思えるから不思議だ。流行とはこんなものだと言えばそれまでだが、それを乗り越えた何かがある。

 

    小さい子供を抱えた主婦のアンケートは興味深い。実際外出する機会が少なく本音の相談ができない主婦にとって、電子メールやインターネットは建前でなく安心できる相談の場なのだろう。孤立している主婦のネットワークがこうして拡大している。

 

平成14813

    コンピュータが今日計算機だと思っている人は殆どいない。機械の制御機器であり、画像も含めた記憶装置であり、事務処理装置であり、ネットワークの通信手段であり、統合経営管理ツールである。特にデータ処理装置としては他に考えられないほど中心的なものだ。これだけコンピュータに依存した社会は、一気にこれがなくなった場合、どうなるのだろう。直接使用の現場にいる者は馴染んでいるから様子がわかるが、少し離れたところにいるともうさっぱりわからないというのがこの世界だ。言語の変化は激しいものの、インターネットの世界だけがかろうじて共通の世界に収斂しつつある。

 

    コンピュータは何にでも似ることができる。現実に存在する事物について的確に表現することができる。文章、絵画、構造物、音楽、歴史、運動物体、生命。とこれはいったい何といえばよいのか。人工生命という言葉があるが、生命ではない。レプリカ。模造品。アナロジー。想像物体。錯覚誘発体。贋物。