物流

 

    物流はこれからの世界を変えていくKEYとなるものだ。

    物流の基本は手にある。自ら手で持って運ぶ。別の場所へ移動するところにある。

    別の場所とはどこか。空間的に時間的に同じでないところ。同じ瞬間に存在する同一の場でなく、別の瞬間にある場所。違うところへ移動する。

    自らの移動とものの移動。これらは別のことのようだが同じことの別の側面とも言える。絶対座標を考えればあたりまえだが物流を商売にしようという人なら常に考えていることだろう。どちらかを動かせば物流になる。

    物流のもとには情報の移動が先行する。かならず情報があり、関係がある。単にベクトルの要素だけであっても重要な情報と言える。相手方の内容まで踏み込まなくても存在・もしくは存在の可能性でも情報である。郵便が転居先不明で返戻されれば、重要な情報となる。

 

    物流を可能にするのはさまざまな交通だ。交通は別の場所との交流。境界を越え異世界への越境。可能な範囲の旅路。彼岸。

    マルクスの商品交換の場。共同体の外部別の共同体との接触によりはじまる。

    境界は線ではなく点。相接するいずれの側にも帰属しない空虚な地帯。

    境界は十字路。峠。一本杉。道祖神。

 

    マージナルな場所は争いに満ちている。物流は争いを超越し、互いに行き来する。

 

    細胞膜の内と外は物質の浸透によりその機能を最大限発揮する。情報の伝達、濃度調節の圧力、イオンの役割。交換されるのは電子、物質とも情報とも波動とも。

 

    物流の基礎にあるのは所有の概念である。自らの財産を確定する。境界の確定。領地の確定。不要なものを必要なものと交換する行為。アイデンティティの確立。自己と他者との区別の確立。境界では免疫活動が盛んに行なわれる。

 

    現代の物流は政治地図を塗り替える要素を孕んでいる。米国がどれだけ大義名分を振りかざそうとも、イラクの地政学的重要性と産油国としての重要性は否定できない。そこには明らかに利権の真意があり、原油をサウジアラビアだけに頼りたくないという現実が見える。クルド問題、カスピ海をめぐるグルジア、チェチェン問題などきな臭い。原油以外の物流を支える技術は、長期的に燃料電池、原子力、イオンロケット等、現実にまだまだ利用できない技術が多いが、世界の平和のためにこの均衡を破る画期的技術の待たれるところだ。